振り返りと言えば KPT(Keep / Problem / Try)が定番であるが、自分なりのオリジナリティ溢れるフレームワークを考えたくなったのでそのアイデアを記す。
bmf = Build / Miss / Focus の頭文字で構成される振り返りのフレームワークである。KPT に似た 3 枠構成を保ちながらも、「成果の可視化」「失敗の顕在化」「次の集中対象の明確化」という順番で思考を誘導する設計としている。
項目 | 説明 | 意図 |
---|---|---|
B: Build(積み上げたこと) | 期間内に達成・前進・改善できたことを列挙する欄である。 | 成果を言語化し、自己効力感と再現可能なプラクティスを抽出する。 |
M: Miss(うまくいかなかったこと) | 想定通りに進まなかった事象、阻害要因、見落とし、未達成事項を挙げる欄である。 | 問題認識を共有し、再発防止・改善機会を確保する。 |
F: Focus(次に集中すること) | 次サイクルで特に注力すべきテーマ・行動を絞り込む欄である。 | Try を乱発せず、選択と集中によって実行確率を上げる。 |
KPT の最大の利点は簡潔さと普及度である。一方で運用してみると以下の課題が生じやすい。
bmf はこの状況に対する次の設計原則にもとづく改良案である。
この 3 原則により、bmf は「振り返りから実行」までの距離を短縮することを狙っているのである。
KPTと同様の手順で実施する。
記入時間に時間を設けたり、書き出したものをグルーピングするなどやり方は自由にアレンジして良い。
落とし穴 | 症状 | 対策 |
---|---|---|
Build が少なすぎる | ネガティブモードで開始し士気が下がる | 直前に期間中の成果ログを読み上げるファシリ施策を入れる。 |
Miss が指摘合戦化 | 人ではなく現象にフォーカスできず心理的安全性が損なわれる | ルール: 個人名ではなく事象・プロセスで記述する。 |
Focus が多すぎる | 実行されず形骸化 | 上限を設けたり、優先度を決める。 |
フォロー忘れ | 前回 Focus の結果確認が抜ける | 毎回冒頭 5 分で前回分のステータスレビューを必須化する。 |
以下はテキストベースで実施する場合のテンプレート例である。
# bmf 振り返り / YYYY-MM-DD 〜 YYYY-MM-DD
参加者:
ファシリテーター:
## Build(積み上げたこと)
-
-
## Miss(うまくいかなかったこと)
-
-
## Focus(次に集中すること)
- [ ] テーマ:
- 目的:
- 成果指標:
- Owner:
- 期限:
---
### 前回 Focus のフォロー(該当時のみ)
- テーマA: 達成度 / 所感
- テーマB: 達成度 / 所感
目的に応じて最適なフレームワークを選択するのが良いが、一つのフレームワークを利用し続けると、慣れからそのフレームワークの制約に縛られたり、変化を見失ったりする。
新しい刺激を得るためにbmfを試してみてはどうだろうか。